相続税はいくらからかかる?基礎控除の計算と早見表をやさしく解説
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この記事のポイント
- 相続税は、遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」(基礎控除)を超えたときだけかかります。超えなければ、申告も納税もいりません。
- 相続人が配偶者と子2人の場合、基礎控除は4,800万円です。2024年に亡くなった方のうち、相続税がかかったのは約10人に1人でした。
- 配偶者は、1億6千万円か法定相続分のどちらか多い額までは相続税がかかりません。自宅の土地は、条件を満たすと評価額が最大80%減ります。ただし、どちらも申告が必要です。
- 相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続税は、遺産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えたときだけかかります。この金額を「基礎控除」といいます。たとえば相続人が配偶者と子2人の3人なら、基礎控除は4,800万円で、遺産がこれ以下なら相続税はかからず、申告もいりません。2024年に亡くなった方のうち、相続税がかかったのは約10人に1人(10.4%)でした。
この記事では、基礎控除の早見表、相続税の計算のしかた、税金を少なくできるしくみ、申告の期限を説明します。
相続税は遺産がいくらからかかる?
相続税の基礎控除(きそこうじょ)とは、遺産からこの金額までは相続税がかからない、という非課税の枠のことです。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除(この額までは相続税がかからない) | 例 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 子1人だけ |
| 2人 | 4,200万円 | 配偶者と子1人 |
| 3人 | 4,800万円 | 配偶者と子2人 |
| 4人 | 5,400万円 | 配偶者と子3人 |
| 5人 | 6,000万円 | 配偶者と子4人 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.4152「相続税の計算」をもとに計算(2026年10月23日に確認)
法定相続人の数え方
法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは、民法で決められた、遺産を受け継ぐ権利のある人のことです。基礎控除を計算するときは、次のように数えます。
- 相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとして数えます。
- 養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで数に入れます。
「遺産」に含まれるもの
遺産の合計には、預貯金や土地・建物、株などのほか、次のものも含めて考えます。
- 生命保険金や死亡退職金(一定の非課税の枠を超えた分)
- 亡くなる前の一定期間に受けた贈与(くわしくは生前贈与とはの記事で説明しています)
- 借金や葬式費用は、遺産から差し引けます
相続税の計算のしかた
相続税は、次の順番で計算します。
- 相続人ごとに、受け取った遺産の額(課税価格)を出す
- 全員の合計から基礎控除を引く(残りを「課税遺産総額」という)
- 課税遺産総額を、法定相続分どおりに分けたと仮定して、それぞれに税率をかけて合計する(相続税の総額)
- 相続税の総額を、実際に受け取った割合で分ける
- 2割加算や税額控除(配偶者の軽減など)を反映して、1人ひとりの納める額を出す
相続税の税率(速算表)
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ― |
| 1,000万円を超え 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円を超え 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円を超え 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円を超え 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円を超え 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円を超え 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円を超える | 55% | 7,200万円 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.4155「相続税の税率」(令和8年4月1日現在法令等。2026年10月23日に確認)
計算例:遺産1億円を、配偶者と子2人で相続する場合
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| ① 基礎控除 | 3,000万円+600万円×3人 | 4,800万円 |
| ② 課税遺産総額 | 1億円-4,800万円 | 5,200万円 |
| ③ 配偶者の分(法定相続分2分の1) | 2,600万円×15%-50万円 | 340万円 |
| ③ 子1人の分(法定相続分4分の1) | 1,300万円×15%-50万円 | 145万円 |
| ④ 相続税の総額 | 340万円+145万円×2人 | 630万円 |
遺産を法定相続分どおりに分けた場合、配偶者の分は315万円ですが、次に説明する「配偶者の税額の軽減」で0円になります。子2人は、それぞれ157.5万円を納めます。
※ 計算を簡単にした例です。実際には、土地の評価のしかたや特例によって変わります。
相続税を少なくできる主なしくみ
配偶者の税額の軽減
亡くなった方の配偶者が受け取った遺産は、1億6千万円か、配偶者の法定相続分のどちらか多い額まで、相続税がかかりません。
ただし、次の点に注意が必要です。
- 申告期限までに、遺産の分け方が決まっている必要があります(3年以内に分けると決まる見込みを届け出れば、後から使える場合もあります)。
- 相続税が0円になる場合でも、申告をしないと使えません。
自宅の土地の評価が下がる「小規模宅地等の特例」
亡くなった方が住んでいた自宅の土地を、配偶者や同居していた家族などが受け継ぐと、330㎡までの部分の評価額が80%減ります。
| 受け継ぐ人 | 主な条件 |
|---|---|
| 配偶者 | 特になし |
| 同居していた家族 | 申告期限まで住み続け、土地を持ち続ける |
| それ以外の家族 | 配偶者や同居の家族がいない、自分の持ち家に住んでいない、など条件が多い |
出典:国税庁 タックスアンサー No.4124「小規模宅地等の特例」(2026年10月23日に確認)
老人ホームに入っていたため自宅に住めなかった場合でも、一定の条件のもとで使えることがあります。この特例も、申告をしないと使えません。
注意:孫や兄弟が受け取ると2割増し
配偶者・父母・子以外の人(兄弟姉妹、おい・めい、子が生きている場合の孫など)が遺産を受け取ると、その人の相続税額は2割増しになります。孫を養子にしている場合も、原則として2割加算の対象です。
相続税の申告と納税の期限
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申告が必要な人 | 遺産の合計(借金などを引いた額)が基礎控除を超える場合 |
| 期限 | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内(納税も同じ) |
| 提出先 | 亡くなった方の住所地の税務署(相続人の住所地ではない) |
| 提出のしかた | e-Tax、郵送、税務署の時間外収受箱 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」(2026年10月23日に確認)
10か月は、思っているより短い期間です。お葬式や手続きが落ち着いてから準備を始めると、遺産の分け方の話し合いが間に合わないこともあります。
相続税がかかる人はどのくらい?
国税庁によると、2024年(令和6年)に亡くなった方は約160万5千人で、そのうち相続税がかかったのは約16万7千人(10.4%)でした。相続税がかかった方1人あたりの税額は、平均で約1,946万円です。
出典:国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(2025年12月)
都市部に土地や自宅を持っている方は、預貯金が少なくても基礎控除を超えることがあります。まずは、おおまかな財産の一覧を作ってみましょう。財産の一覧は、エンディングノートにまとめておくと、家族も困りません。
元気なうちにできること
- 財産の一覧を作る:預貯金、土地・建物、株、生命保険を書き出し、基礎控除を超えるかを確かめます。
- 生前贈与を考える:年110万円までの贈与には贈与税がかかりません。ただし、亡くなる前の一定期間の贈与は相続財産に足し戻されます。くわしくは生前贈与とはの記事をご覧ください。
- 遺言書を書いておく:分け方が決まっていると、申告期限までに特例を使いやすくなります。書き方は遺言書の書き方の記事で説明します。
困ったときの相談先
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 相続税の一般的なしくみ | 国税庁の「電話相談センター」(お住まいの地域の税務署に電話し、音声案内で選ぶ) |
| 自分の場合の税額や申告書の作成 | 税理士(日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で探せる) |
| 遺産の分け方や相続人どうしの話し合い | 弁護士、司法書士 |
まとめ
- 相続税は、遺産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えたときだけかかります。
- 配偶者と子2人なら、4,800万円までは相続税がかかりません。相続税がかかるのは、亡くなった方の約10人に1人です。
- 配偶者の軽減や、自宅の土地の特例を使うと、税金を大きく減らせます。ただし、申告が必要です。
- 申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
財産の一覧を作るときは、ご家族とも共有しておくと安心です。
よくある質問
相続税は遺産がいくらからかかりますか?
遺産の合計(借金や葬式費用を差し引いた額)が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるとかかります。法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円、4人なら5,400万円までは相続税はかかりません。
相続税がかからない場合も申告は必要ですか?
遺産の合計が基礎控除の額以下なら、申告も納税もいりません。ただし、配偶者の税額の軽減や小規模宅地等の特例を使うことで相続税がゼロになる場合は、特例を使うために申告が必要です。
相続税の申告期限はいつですか?
亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。納税の期限も同じです。たとえば1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が期限になります。提出先は、相続人ではなく、亡くなった方の住所地の税務署です。
相続放棄をした人も法定相続人の数に入りますか?
基礎控除を計算するときは、相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとして数えます。養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで数に入れます。
孫や兄弟が財産を受け取ると相続税は高くなりますか?
配偶者・父母・子以外の人(兄弟姉妹、おい・めい、子が生きている場合の孫など)が財産を受け取ると、その人の相続税額は2割増しになります(相続税額の2割加算)。
参考にした情報
- 国税庁 タックスアンサー No.4152「相続税の計算」
- 国税庁 タックスアンサー No.4155「相続税の税率」
- 国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」
- 国税庁 タックスアンサー No.4158「配偶者の税額の軽減」
- 国税庁 タックスアンサー No.4124「小規模宅地等の特例」
- 国税庁 タックスアンサー No.4157「相続税額の2割加算」
- 国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(2025年12月)
制度や金額は変わることがあります。最新の情報は、各機関の公式サイトや窓口でご確認ください。
この記事の更新履歴
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次に内容を見直す予定:2027年4月ごろ
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この記事を書いた人
年金・医療・介護の制度、詐欺の対策、終活、相続、お葬式とお墓について、厚生労働省・日本年金機構・警察庁・法務省・自治体などの公的な情報を確認しながら記事を作成しています。制度や数字は、定期的に見直して更新しています。