遺言書の書き方|自分で書くときの見本と、無効にしない注意点
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この記事のポイント
- 自分で書く遺言書(自筆証書遺言)は、全文・作成日・氏名を自分で手書きし、印鑑を押して作ります。日付は「〇年〇月吉日」ではなく、日にちまで書きます。
- 財産の一覧(財産目録)は、パソコンで作ったり、通帳や登記事項証明書のコピーをつけたりしてもかまいません。ただし、すべてのページに署名と押印が必要です。
- 法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を使うと、1通3,900円で遺言書を預かってもらえ、亡くなった後の家庭裁判所の検認がいらなくなります。
- 公証人に作ってもらう公正証書遺言は、費用はかかりますが、形式の不備で無効になる心配がほとんどありません。
自分で書く遺言書(自筆証書遺言・じひつしょうしょいごん)は、全文・作成日・氏名を自分で手書きし、印鑑を押せば作れます。財産の一覧(財産目録)だけは、パソコンで作ったり通帳のコピーをつけたりしてもかまいません。書いた遺言書は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を使うと1通3,900円で預かってもらえ、亡くなった後に家庭裁判所の検認(けんにん)という手続きがいらなくなります。
この記事では、遺言書の種類、自分で書くときの見本とルール、無効にしないための注意点を説明します。
遺言書の種類と違い
| 項目 | 自筆証書遺言(自宅で保管) | 自筆証書遺言(法務局で保管) | 公正証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 作り方 | 自分で書く | 自分で書く | 公証人が作る |
| 費用 | かからない | 保管の申請は1通3,900円 | 財産の額に応じた手数料 |
| 証人 | いらない | いらない | 2人以上 |
| 保管 | 自分で保管 | 法務局が保管 | 公証役場が原本を保管 |
| 家庭裁判所の検認 | 必要 | いらない | いらない |
出典:甲府地方法務局「自筆証書遺言書保管制度の利用をお考えの方へ」、法務省「09 手数料」(2026年10月23日に確認)
- 自分で書く遺言書は、手軽で費用もかかりません。ただし、ルールを守らないと無効になることがあります。
- 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)は、公証役場で公証人に作ってもらう遺言書です。費用はかかりますが、形式の不備で無効になる心配がほとんどありません。
エンディングノートとの違いは、エンディングノートとはの記事で説明しています。エンディングノートには、遺言書のような法的な効力はありません。
自分で書く遺言書のルール
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 本文 | 全文を自分で手書きする |
| 日付 | 作った日が特定できるように書く(「〇月吉日」は不可) |
| 氏名 | 自分で書く(戸籍どおりの氏名で) |
| 押印 | 印鑑を押す |
| 財産目録 | パソコンや、通帳・登記事項証明書のコピーでもよい。ただしすべてのページに署名と押印 |
| 書き直し | 場所を示して、変更したことを書き添えて署名し、変更した場所に押印する |
出典:法務省「03 遺言書の様式等についての注意事項」(2026年10月23日に確認)
消えないボールペンや万年筆で書きましょう。書き直しのルールは細かいので、間違えたときは最初から書き直すほうが安心です。
遺言書の見本
遺言書
遺言者 山田太郎は、次のとおり遺言する。
1 遺言者の有する次の不動産を、妻 山田花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。 所在 東京都〇〇区〇〇町〇丁目 地番 〇番〇 地目 宅地 地積 〇〇.〇〇平方メートル
2 遺言者の有する次の預金を、長男 山田一郎(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。 〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
3 上記以外の遺言者の有する一切の財産を、妻 山田花子に相続させる。
4 この遺言の遺言執行者として、妻 山田花子を指定する。
令和〇年〇月〇日 住所 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号 遺言者 山田太郎 ㊞
※ 書き方の一例です。財産や家族の状況によって書くべき内容は変わります。
書くときのポイント
- 財産を特定できるように書く:土地は登記事項証明書のとおりに、預金は銀行名・支店名・口座番号まで書きます。
- 受け取る人を特定できるように書く:続柄と氏名に加えて、生年月日も書くと確実です。
- 「その他の財産」の行き先も書く:書き漏れた財産があっても困らないようにします。
- 遺言執行者を決めておく:遺言の内容を実行する人です。家族のほか、専門家を指定することもできます。
法務局で預かってもらう「自筆証書遺言書保管制度」
自分で書いた遺言書を、法務局(遺言書保管所)で預かってもらえる制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手数料 | 遺言書1通につき3,900円(収入印紙) |
| 申請のしかた | 本人が予約をして、法務局に行く(郵送・代理は不可) |
| よいところ | なくしたり、書き換えられたりする心配がない。亡くなった後の検認がいらない |
| 亡くなった後の通知 | あらかじめ指定した人(3人まで)に、遺言書が保管されていることを知らせてもらえる |
| 注意 | 法務局では、遺言の中身の相談はできない |
出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度について」「09 手数料」(2026年10月23日に確認)
預ける場合の用紙のルール
- 用紙はA4サイズ。模様や色のある用紙は使えません(一般的な罫線は大丈夫です)。
- 余白を、上5mm・下10mm・左20mm・右5mm以上あけます。
- 片面だけに書きます。
- 2枚以上になるときは、各ページに「1/2」のようにページ番号を書きます。
- ホチキスでとめず、封筒にも入れずに持っていきます。
無効にしないための注意点
- 本文をパソコンで書いた、家族に代筆してもらった → 無効になります。
- 日付が「吉日」になっている → 無効になります。
- 夫婦で1枚の遺言書に連名で書いた → 遺言は1人ずつ書きます。
- 財産目録の一部のページに署名・押印がない → 必ず全ページに署名と押印をします。
内容が複雑な場合(不動産が多い、相続人どうしの関係が難しい、など)は、公正証書遺言にするか、専門家に相談すると安心です。
困ったときの相談先
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 遺言書を預ける手続き | お近くの法務局(遺言書保管所)。予約が必要 |
| 公正証書遺言を作りたい | お近くの公証役場 |
| 遺言の中身、相続の分け方 | 弁護士、司法書士、法テラス |
| 相続税のこと | 税理士。しくみは相続税はいくらからかかる?の記事で説明しています |
まとめ
- 自分で書く遺言書は、全文・日付・氏名を手書きし、印鑑を押して作ります。財産目録だけはパソコンやコピーでもよく、全ページに署名と押印をします。
- 法務局に1通3,900円で預けると、なくす心配がなく、亡くなった後の検認もいりません。
- 費用をかけても確実にしたいときは、公正証書遺言が選べます。
遺言書を書いたら、どこにあるかを信頼できるご家族に伝えておきましょう。
よくある質問
遺言書はパソコンで書いてもいいですか?
自分で書く遺言書(自筆証書遺言)の本文は、手書きが必要です。パソコンで作ってよいのは、財産の一覧(財産目録)の部分だけです。財産目録をパソコンで作る場合や、通帳のコピーをつける場合は、すべてのページに署名と押印をします。
遺言書の日付は「吉日」でもいいですか?
いいえ。日付は、作った日が特定できるように「令和8年10月23日」のように日にちまで書きます。「令和8年10月吉日」のような書き方は認められません。
遺言書を法務局に預けるにはいくらかかりますか?
遺言書1通につき3,900円です(収入印紙で納めます)。遺言者本人が、予約をしたうえで、法務局(遺言書保管所)に行く必要があります。郵送や代理人による申請はできません。
遺言書の検認とは何ですか?
自宅などで保管されていた自筆の遺言書を、亡くなった後に家庭裁判所で開封・確認してもらう手続きです。法務局に預けた遺言書と公正証書遺言は、検認がいりません。
自分で遺言書を書くときのチェックリスト
印刷して、終わったものに印をつけて使えます。
- 本文をすべて自分で手書きした(パソコンは財産目録だけ)
- 日付を「〇年〇月〇日」と日にちまで書いた(「吉日」は不可)
- 氏名を戸籍どおりに書き、印鑑を押した
- 財産目録をパソコンやコピーで作った場合、すべてのページに署名と押印をした
- 誰に、どの財産を渡すかを、特定できるように書いた(口座番号、土地の所在地など)
- 書き直した部分は、決められた方法で訂正した(迷ったら書き直す)
- 法務局に預ける場合:A4・片面・余白・ページ番号のルールを守った
- 遺言書がどこにあるかを、信頼できる家族に伝えた
これからの暮らし帖 https://kurashicho.mood107.com/articles/yuigonsho-kakikata/
参考にした情報
- 法務省「03 遺言書の様式等についての注意事項」(自筆証書遺言書保管制度)
- 法務省「09 手数料」(自筆証書遺言書保管制度)
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度について」
- 甲府地方法務局「自筆証書遺言書保管制度の利用をお考えの方へ」(遺言の種類の比較)
制度や金額は変わることがあります。最新の情報は、各機関の公式サイトや窓口でご確認ください。
この記事の更新履歴
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次に内容を見直す予定:2027年10月ごろ
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この記事を書いた人
年金・医療・介護の制度、詐欺の対策、終活、相続、お葬式とお墓について、厚生労働省・日本年金機構・警察庁・法務省・自治体などの公的な情報を確認しながら記事を作成しています。制度や数字は、定期的に見直して更新しています。